【関係するマインド】
マインド①自分の人生は自分が責任を取る
マインド③建設的に考える
鶏口牛後は「けいこうぎゅうご」と読みます。これは、大きな集団のうしろにいるよりも小さな集団で前にいたほうがいい、という意味です。学生が勉強するにあたってこの集団というのは学校と言い換えてよいです。つまり、進学校でくすぶるより非進学校でトップを走った方がいいということです。キミが進学校に通っていないのであれば、この鶏口牛後のスタンスでいましょう。

ぼくは大学受験をしようと思ったときに、非進学校にいることを非常に後悔しました。周りの生徒は学力が高くなく、勉強しようというやる気もありませんでした。授業も受験に対応できるようなレベルではないし、教科によっては授業自体がないこともありました(数学IIBや世界史B、地学など)。先生も推薦入試や就職支援のほうに慣れていて、一般入試で国立大学をめざす生徒の対応には戸惑いもあったと思います。
どう考えても受験に不利な環境だと思っていました。
だけど、勉強に真摯に取り組み始めてからこの環境が自分にとっては実はメリットもあるんじゃないかと思えるようになりました。
非進学校に通うメリット

たとえば、わりと簡単に学年で一番の成績になれるので、自己肯定感が上がりやすいです。努力が目に見えやすいのです。ときどき、もし自分が進学校に通っていたらと想像することがあります。すると、身近に自分よりも勉強のできる人がたくさんいて、自分は良くて平均の成績しか取れない状況がストレスに感じるような気がしました。どれだけ頑張っても追いつけない相手が同じ教室・同じ建物にいるというのは、自分の努力を少し虚しく感じてしまうと思ったのです。
他人と比べる必要はない、というのは正論です。正論を聞いてはいそうですかでは比較しませんとなる人なんていないと思います。人はどうしても比較してしまう生き物です。
だったらそれを逆手に取りましょう。進学校でないのなら、こういった他人と比べて劣等感をもつ可能性はかなり低いです。むしろ、自分がトップになって、周りに劣等感をもたせるくらいになってしまいましょう。
ほかにもメリットはあります。それは、先生から多少なりとも特別待遇をされることです。うちの学校からあの大学に行きたいと言っている生徒がいて、本当にそれに向かって努力していることを知った先生は、きっとキミをサポートしてくれます。ぼくの場合は、外部の模試を紹介してくれたり、校長先生やALTの先生が英作文の添削をしてくれたりしました。これも、進学校で同じ成績だとなかなか難しいことなのではないでしょうか。先生を味方につける、と言うとなんだか小物感のある表現ですが、人間関係でストレスを作らないというのは大事だと思います。勉強に思いっきり集中できるというのは、勉強以外に気を揉むことがないということだからです。さらに、特別待遇というのはキミに適度なプレッシャーも与えてくれます。期待されている分、急に勉強を投げ出すことはできなくなるはずです。周りの期待に応えるためだけに勉強する必要は全くないけれど、周りに嫌味を言われながら勉強するよりは100倍いい環境のはずです。
大学でも続くメリット

大学に入ってからも鶏口牛後のメリットを感じることがいくつかありました。
一つはさっきも挙げた自己肯定感が高くなるということです。大学で出会った人たちはほとんどぼくの学校より偏差値の高い高校の出身でした。だけど、勉強における自己肯定感はぼくより低い人が多かったように感じます。客観的には偏差値は同じだし、なんなら周りの人のほうが賢いはずなのに、です。これはやはり高校で周りにいた優秀な人と自分を比べてきたからでしょう。ぼくは自分の出身である岡山大学はそれなりに難関大学だと思っているのですが、進学校出身の人たちからしたら周りに東大や京大に受かっている人がいるなかで岡山大学に通っていることを誇らしく思うのはたしかに難しいことなのかもしれません。
就活にも役立つ

また、高校生当時は想像していなかったメリットとして「話のネタになる」というのがあります。地元ではぼくの高校から岡山大学に受かったと言うとよく感心されます。母校の高校ではぼくの存在は1000年に7日だけ目覚めるジラーチと言われているとかなんとか。ぼく自身もこの受験エピソードはふんだんに活用させてもらっていて、就活でも話しました。普通、就活で大学受験の話をするのはNGです。なぜなら高学歴の人はみんな大学受験をがんばってきたから、周りと何ら違いがないからです。だけどぼくのがんばったエピソードは他の人とは少し違います。自業自得とはいえ恵まれない環境から試行錯誤をくり返し這い上がった話はぼくの人となりを表すエピソードとしてはかなり適切だったと思います。
今いる環境を変えるのが難しいなら、自分が変わりましょう。その環境を利用し尽くしてやろうじゃありませんか。
おまけ:鶏口牛後の対義語

ちなみに鶏口牛後の対義語は「寄らば大樹の陰」です。身を寄せるならば勢力の大きい方がよいという考え方です。
大企業に就職した社会人のぼくはまさに大樹の陰に寄ったと言えますが、それが悪かったかと言うとそんなことはまったく思っていません。大変なことももちろん多いし不満がゼロとは言えないですが、それでもめちゃくちゃ勉強になるし、やりがいも感じるし、給料も高いので、大樹最高だと思います。
結局、どんな環境であれ自分の心の持ちようで前に進むエネルギーは生み出せるのだと思います。