どのまともな大学を受験するにしても、複数科目の試験がある。
東大の2次試験なら4~5科目、科目の少ない慶應のSFCだって英語と小論文の2科目だ。もちろん、共通テストの受験が必要な国立大学なら5教科の学習は基本必須だ。そんなときに、最初からすべての教科を満遍なく勉強するのは絶対に悪手だ。
最初から満遍なく勉強することがなぜ悪手か
理由は次の2つだ。
- 成績の伸びが遅いため、モチベーションの維持ができない
- 日々の勉強内容の管理が複雑で、成績の維持が難しい
要は、成績もやる気も上がりにくいし下がりやすいということだ。
弱者の受験戦略は、何よりもモチベーションを大事にする。自分で自分のやる気に火をつけ、明かりを灯し続けることができないと、孤独で真っ暗な受験街道を歩くことはできない。
キミが勉強することに慣れていなかったら、受験に必要な科目を最初から同時並行で勉強すると得てして次のようになる。
「今日は国語と英語と世界史を1時間ずつ勉強しようっと」
「う~ん、古文の単語30単語なんとなく覚えてた気がするぞ…あ、1時間経った。よし、英語やるぞ」
「英語もまずは単語からだ。50語覚えてから文章問題解こうかな」
「あ、文章問題の途中で時間切れだ、最後世界史やろうっと」
「前回の続きの中国史やるか。なんか前回勉強した範囲めちゃくちゃ狭いのにもう全部忘れてるな、、、」
↓勉強終了後
「なんか、身についてる感じが全然しない…」
勉強し始めに身についている感がないのはよくある話だけど、それでもこれは本当に身についていないと思う。どの教科も中途半端にしか勉強していないからだ。
まずは1教科に集中して偏差値65以上をめざす
バランスよくという名の中途半端はやらずに、「まずはこれを得意にしたい」という1教科に絞って、集中的に勉強して成績をあげよう。目安は偏差値65だ、これは(模試の中で簡単な部類と言われる)進研模試でもいい。偏差値65あれば、受けた人の上位約7%に入る。
1教科で偏差値65を目指すことはとてつもなくたくさんのメリットがある。正直、これができたら受験勉強の最大の関門は突破したと言ってもいいし、キミの人生はもうすでに好転し始めていると思ってもらっていい。
1教科の偏差値を65以上にするメリット
偏差値65以上になるメリットは次の4つがある。
- ①受験において、その科目が武器(得点源)になる
- ②「やればできる」ということを実感できて、勉強することに対して迷いが減り、自信がつき、さらに勉強するモチベーションがわく
- ③成績の上げ方・上がり方がわかるので、他の教科の勉強にも使える
- ④学習習慣が身に付く
①はもちろんのことだが、このサイトでは②をとても重要だと考えている。別の記事でも書こうと思うが、ぼくは人生で大切なのは「自己肯定感」あるいは「自己受容」だと思っている。自分のことを好きになれたら、受け入れられたら、それだけで行動する勇気も湧いてくるし、失敗しても立ち直れる。受験勉強という手段を通じてどんどん素敵な自分に成長していけたら、自己肯定感が上がらないわけがない。
そして受験勉強においては③と④もとても大切だ。例えば英語だけを勉強して成績をグッと上げると、それはつまり「成績を伸ばす勉強をした」ということでもある。そうすると、他の教科であっても「成績を伸ばす勉強」ができる自分になっているので、同じように成績を伸ばすことができる。
また、勉強を初めて本気でやろうと思う人は、たいてい学習習慣の壁にぶつかる。机に座っていられない、寝てしまう、スマホに手が伸びてしまう、などなど。これらの壁を乗り越えて初めて到達できる領域が偏差値65だ。だからそこに辿り着くということは、毎日勉強するという習慣がちゃんと身についたことの証なんだ。
ぼく自身、高校1年生のころ、3か月英語だけを勉強し続けることによって、模試の偏差値が46→73に跳ね上がった。先生もびっくりしていたし、自分もまさかそこまで伸びるとは思っておらずびっくりした。びっくりしたと同時にとんでもなく自信がついた。自分のやってきたことは間違いじゃなかったんだ、これを続ければどの教科も成績を上げられると思えた。そうしてより一層勉強するギアが上がったのは間違いない。
最初に得意にするべき教科
さて、もう少し具体的な話をしよう。最初に得意にするべき教科の話だ。
おすすめは圧倒的に、英語か数学だ。理由は次の3つ。
- ①汎用的な教科だから
- ②積み重ねが大事な教科だから
- ③成績が上がりにくく下がりにくい教科だから
①汎用的とは、どこでも使えるという意味だ。どの大学を受験するにしても、この教科はたいてい受験科目に入っているからだ。しかも、配点も高い。
例えば東大で考えてみよう。共通テストと2次試験合わせて英語の配点は26%、数学も26%(文系は23%)ほど。2教科で約半分を占める。一方で理科や社会科目はその半分の割合しかない。
※ちなみに、国語も英語や算数と同じ配点だが、極める教科としてはおすすめしていない。その理由は別記事で語ろうと思う。
英語と数学が好成績で安定していると、第1志望の大学のレベルを高くもてるし、選択肢も広がる。そして最終的にそこまで辿り着けなくても滑り止めや第2志望の大学のレベルも十分高いところがねらえる。
②英語や数学は、最初は成績が上がりにくいが、一度上がると下がりにくい教科だ。ただ単語や文法や公式を暗記しても試験の問題はほとんど解けない。社会や理科なら、暗記した量に比例してある程度はすぐに成績が上がる。しかし、有機的につながっていない知識だとすぐに忘れる。
受験体験記でも語るが、自分自身も英語を勉強していたとき、最初の3か月近くは成績が伸びている感覚がほとんどなかった。単語を覚えて、文法を覚えていっているのに、文章が読めない。勉強し始めて2か月後の模試の偏差値は46だった。しかしそれでも知識を1つずつ積み上げていくと、ある日急に読めるようになったのだ。点だった知識がつながって線になって、文法や単語の集合体である文章が読めるようになっていた。1か月後の模試の偏差値は73になっていた。
③ ②の続きになるが、積み重ねが大事な分、一度上がった成績はなかなか下がらない。自分は1年生の冬に英語の偏差値が73になってから受験のときまで、スランプを除いてほとんどすべての模試で偏差値65以上をキープできた。受験当日だけでなく、それまでの受験勉強で常に自信を与えてくれる武器になっていたわけだ。一方で、高校3年生の夏から参考書1冊とセンター試験(今の共通テスト)の過去問集だけで挑んだ地学は、とんでもなく勉強時間が少なかった、かつ難化した年だったが6割ほど取れた。
そして社会人の今、知識が残っているのは圧倒的に英語のほうだ。地学は何も覚えていない。
英語か数学のどちらから勉強を始めるか迷うときは
どっちができる自分がかっこいいと思えるかで決めていいと思うが、より汎用的なのは英語だと思う。文系の英語は得点源だし、理系で英語が得意ならほかの受験生と差をつけられる。数学は文系学部によってはそこまで配点が高くない(あるいは受験科目にもない)場合もあるから、迷うなら英語からでいいと思う。
まとめ
まずは1教科(英語か数学)の偏差値をぐっと上げよう。なぜなら
- ①受験において、その科目が武器(得点源)になる
- ②「やればできる」ということを実感できて、勉強することに対して迷いが減り、自信がつき、さらに勉強するモチベーションがわく。
- ③成績の上げ方・上がり方がわかるので、他の教科の勉強にも使える。
- ④学習習慣が身に付く。
というとんでもないメリットがあるからだ。
そして、最初に成績を上げる教科として英語か数学をおすすめする理由は次の3つ。
- ①汎用的な教科だから
- ②積み重ねが大事な教科だから
- ③成績が上がりにくく下がりにくい教科だから
以上!
キミがよりよい人生を歩んでくれることを願う!